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理事の兼職禁止規定の解釈について

質問事項

中協法第37条第2項の理事の兼職禁止規定は、非常に理解し難い複雑な規定であるので例をあげて説明願いたい。

回答内容

本規定の趣旨から説明すると、理事は理事会を構成して組合の業務の執行を決定し、あるいは代表理事となって決定された業務を現実に執行しなければならない等組合連営の首脳部たる地位にあるので、組合事業の経営、その他の組合運営に関し機密に属する事項等も詳細に知っているわけであるが、理事自体が組合事業または組合員資格事業と実質的に競争関係にある事業を行っているとき(法人であるときは、その役員たる地位にあるとき)は、組合の業務運営を不利におとしいれることになり、組合の正常な発展を妨げたり、あるいは組合員に不利益をもたらすおそれがあるので、これを防止するために一定の競合関係にたつ者は、組合の理事となることを禁止したのである。例をあげて第37条第2項の規定を説明すれば、(1)いま織物製造業者を組合員資格とする組合があり、その組合の共同施設として染色整理業及び原糸の共同購入事業を行っている場合を仮定する。この組合の原糸の共同購入事業を利用するために組合員となっているが、織物製造業を営みながら染色整理事業をも兼業して行ったとすれば、その者は組合員ではあるけれど理事への就任が禁止される。すなわち、組合の行う染色整理事業と例示した組合員の行う染色整理事業とは完全に競合するからである。なお、上記組合員が、組合員となっていない員外者である場合でも、同様の趣旨から員外理事として就任することを禁止される。(2)もし、この組合が織物製造業者と染色整理業者の両方を組合員資格として定款に定めていたとすれば、組合が染色整理の共同事業を行っていたとしても、例示した組合員の行う染色整理業は「組合員の資格として定款に定められる事業以外のもの」でなくなるので理事への就任が可能となる。なお、この場合に例示した者が員外者であるときは、第2号によって判断される。以上が第1号の説明であるが、第2号は員外理事のみに適用される規定である。理事になろうとする者が員外者である場合、(1)の場合であれば、織物製造業を行う者は、大企業である限り、この組合の員外理事に就任することが禁止される。(2)の場合であれば織物製造業を行う者も染色整理業を行う者も、大企業である限りこの組合の員外理事に就任することは禁止される。中小企業者であれば就任が禁止されないのは、たとえ員外者であっても組合員と同様の状態にあるものと考えてよいからである。なお「実質的に競争関係にある事業」とは、製造業と販売業あるいは卸売業と小売業のように縦の系列関係をいうのではなく、取扱商品が代替関係にある場合、たとえば綿スフ織物と絹人絹織物あるいは布レインコートとビニールレインコート等を指すものと解している。以上の関係を表に示すと次のようになる。組合員、組合事業と実質的競争事業を行う者、組合員資格事業であるものを行う者、個人………○、法人、役員……○、非役員……○、組合員資格事業でないものを行う者、個人……×(1号)、法人、役員……×(〃)、非役員……○、上記事業を行わない者………○、非組合員、組合事業と実質的競争事業であって組合員資格事業でないものを行う者、個人……×(1号)、法人、役員……×(〃)、非役員……○、組合員資格事業を行う者、大企業者、個人……×(2号)、法人、役員……×(〃)、非役員……○、中小企業者、個人……○、法人、役員……○、非役員……○、組合員資格事業と実質的競争事業を行う者、大企業者、個人……×、(2号)、法人、役員……×(〃)、非役員……○、中小企業者、個人……○、法人、役員……○、非役員……○、上記以外の事業者、大企業者、個人……○、法人、役員……○、非役員……○、中小企業者、個人……○、法人、役員……○、非役員……○、非事業者……○、(注)○は就任可能者.×は就任禁止者、( )内は抵触条項を示す。


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