商品券の発行手続について
組合が商品券を発行する場合とのような手続をとればよいか。
商品券は、商人がその事業の宣伝、顧客の継続、無利子の資金の調達等の効果をねらうとともに商品券の被贈者の便宜を考えて発行する一覧払の無記名有価証券であって、その商人の取扱う商品又は役務の給付請求権を表象するものをいうが、一般的に商品券という場合は、商品の給付を目的とする金額を表示したものを指している。
組合が発行することができる商品券(中協法第9条の7)も上述の金額表示商品券であるが、商品券上の債務者が組合員又は組合、すなわち複数であるので、いわゆる共通商品券である。
組合が商品券を発行した場合のその所有者に対する責任については、中協法第9条の7に規定されているのでこれを参照されたいが、発行した場合に組合がとるべき措置、発行の方法等については、「商品券取締法」及び「商品券取締法施行規則」並びに「商品券取締法第2条第1項二規定スル権利ノ実行二関スル勅令」に規定されているところに従わなければならない。
以下商品券を発行する場合の注意事項を説明する。
1.組合の事業執行体制の整備
組合が商品券を発行するためには、先ず定款に組合の事業として「商品券の発行」が記載されていなければならないので、この規定を欠いて、いる組合は、定款変更の手続をとる必要がある。これとともに商品券発行事業に関し事業計画及び収支予算をたて、当該事業年度の頭初計画及び頭初予算を変更する手続をもとることとなる(これは、定款変更の認可を行政庁に申請する場合の添付書類としても必要である。)
次に、組合が商品券発行事業の運宮の適正を期するため、商品券発行規約を制定することか適当であるし、また当該事業の具体的な運営に関し理事長又は理事会の諮問機関として商品券発行事業運営委員会等の制度を設けることも適切な措置として考えられる。
商品券発行規約で定めることが適当と思われる事項としては、
(1)発行する商品券の種類(金額別)及び様式
(2)商品券発行額の最高限度及び金額別の枚数
(3)一組合員に対する商品券引渡額の最高限度
(4)商品券の引渡に関する組合と組合員間の決済方法
(5)商品券の引換ができない場合の決済準備金の積立及び管理方法
(6)商品券発行事業運営委員会を設置した場合にあっては、その構成、運営等に関する事項
(7)その他商品券の発行に関する重要な事項
である。
2.商品券の券面記載事項
商品券の券面に記載しなければならない事項は、商品券取締法施行規則第7条に規定されている。すなわち、
(1)金額
(2)発行者(組合)の名称
(3)引換をなすべき営業所(組合員の店舗)
(4)発行年月日
(5)発行番号
であり、このうち(1)の金額は券面に記載しなければならないが、(2)以下の事項については、商品券の裏面に記載することも妨げない。
しかしながら商品券の体裁もあるし、所有者の便宜をも考えなければならないので、(3)の引換をなすべき組合員の店舗が多数にわたる場合を除き、券面に記載することか妥当であろう。また(2)及び(3)については、その所在地をも表示しておくことか必要であると解する。
なお、商品券に分支券(券面金額を分割して引換額か券面金額に満たない場合に引換金額に相当する部分のみを切り取るようにしたもの)を付するものがあるが、この場合には、商品券を呈示して引換を請求するまで母券と分支券を切りはなすことができず、切りはなした場合には、当該分支券の金額は無効であるとしているのが通例であり、またこのためには、その旨を商品券に記載しておくことが必要である。
3.商品券発行に関する帳簿
商品券を発行した組合は、商品券取締法施行規則第9条の規定により、商品券発行に関する帳薄を主たる事務所に備えつけなければならないことになっている。
上記帳簿には、組合員の店舗別に、発行年月日、発行番号、券面額及び引換年月日か明確に記載されなければならないことになっているが、帳簿組織としては、商品券の交付、発売及び引換並びに引換未済の発行額を券面類別に示すべき商品券発行原簿と商品券の発行高、引換高及びその決済の顛末を組合員別に示すべき商品券元帳の2種を調整し、さらに組合と組合員間の商品券に関する授受を示すべき商品券控帳を備えておくことが適当である。また、これらの事項を記載するために必要な報告を適当な期間ごとに組合員から提出させることとしておかなければならないであろう。
4.商品券を発行した場合の供託
組合は商品券取締法第1条及び同法施行規則第1条から第6条までの規定に従い、一定の場合に金銭等の供託をしなければならないこととされている。すなわち商品券を発行する組合は、毎年3月31日及び9月30日現在の商品券の引換未済の金額か100万円超である場合には、それぞれ翌月末までに、組合の主たる事務所の所在地において、引換未済額の2分の1以上に相当する金額の金銭、国債、地方債又は大蔵省告示で指定された社債若しくはこれに準ずる債券を供託しなければならないことになっている。これは商品券の所有者の保護を目的とする趣旨であり(商品券取締法第2条)、この所有者の権利の実行手続ないし方法について、前述の権利の実行に関する勅令が制定されている。
5.その他
商品券は前述の通り金額表示の有価証券であるから、その流通範囲及び引換可能の商品又は、役務の種類の多寡によっては、紙幣に近い機能を有することとなる。これについては明治39年法律第51号をもって制定された「紙幣類似証券取締法」が適用され、証券の機能如何によっては、発行が禁止されることとなっている。
