香川県における中小企業の労働情勢

1.調査の目的

  香川県内における中小企業の労働事情を的確に把握し、適正な中小企業労働対策の樹立並びに
中央会労働指導方針の策定に資することを目的として、毎年定期的に実施しているものである。

2.調査実施方法

  会員組合への依頼による郵送調査

3.調査時点

   平成12年7月1日

4.調査対象事業所

   600事業所(製造業336・非製造業264)

5.調査対象の選定

   県内の従業員規模300人以下の中小企業を、任意抽出し一定業種に偏しないよう選定した。

6.調査の主な内容
   (1) 経営に関する事項
   (2) 労働時間に関する事項
   (3) 雇用に関する事項
   (4) 賃金に関する事項
   (5) その他労働に関する時々の重要事項


   ※詳細なデータがお知りになりたい場合は、本会までお問い合わせください。 

 

1.回答事業所数と内容

  調査対象事業所600企業の内、回答事業所数は製造業173事業所、運輸業22事業所、建設業52事業所、
卸売業21事業所、小売業20事業所、サービス業18事業所の合計306事業所で、回答率は、51%であった
(昨年度51.5%)。
  回答306事業所の従業員規模別内訳は、「1〜9人」が77事業所(25.2%)、「10〜29人」が131事業所(42.8
%)、「30〜99人」が73事業所(23.9%)、「100〜300人」が25事業所(8.1%)であった。

 

区   分

事業所

数  計

従業員数 常用労働者数  

平均労働者数

 

1〜9人 10〜29人 30〜99人 100〜300人

306 77 131 73 25 10、193 33.31

製造業計 

173 50 68 42 13 5,629 32.54
製造業

 

食料品
33 14 1,226 37.15
繊維・同製品 23 852 37.04
木材・木製品 22 417 18.95
出版・印刷・同関連 16 769 48.06
窯業・土石 28 11 15  0 390 13.93
化学工業 68 13.60
金属、同製品 23 864 37.57
機械器具 460 51.11
その他 14 583 41.64
非製造業計 133 27 63 31 12 4、564 34.32
非製造業 運輸業 22 11 786 35.73
建設業 52 27 13 1,811 34.83
   総合工事業 29 12 10 1,379 47.55
職別工事業 10 197 19.70
設備工事業 13 10 235 18.08
卸小売業 41 15 16 1,516 36.98
  

  

卸売業 21 11 968 46.10
小売業 20 12 548 27.40
サービス業 18 451 25.06
 

 

対事業所サービス業 12 328 27.33
対個人サービス業 123 20.50

 

2.労働組合の有無

 労働組合のある事業所は、回答事業所のうち21事業所で全産業の6.8%(昨年度7.8%)であった。
 組織率を規模別にみると、「100〜300人」が24%と最も高く、「1〜9人」では0%となっている。
 業種別では、製造業においては「機械器具」(22.2%)、「食料品」(18.2%)の順で高く、非製造業におい
ては「運輸業」(18.2%)を除く全ての業種で5%以下であった。

3.常用労働者数

 回答306事業所の常用労働者数は10,193人で、男性7,380人(72.4%)女性人(27.6%)で一事業所当た
りの平均従業員数は33.3人で昨年度調査より約1人減少している。
  業種別で、男性常用労働者数比率は製造業では「機械器具」91.5%、「金属・同製品」88.7%、「窯業・
土石」82.6%の順で高く、非製造業では「運輸業」91%、「建設業」85.7%となっている。  一方、女性常用
労働者数が最も高いのは、製造業では「繊維・同製品」60.8%、非製造業では「小売業」46.5%となってい
る。
  全業種での全国平均は、男子(71.9%)、女子(28.1%)となっており、ほぼ本県と同様の結果となってい
る。

4.常用労働者の年齢別構成

 常用労働者の年齢別構成をみると、昨年同様「45〜54才」(26.0%)が最も多く、次いで「25〜34才」(22.7
%)、「35〜44才」(18.3%)と続いている。又、45才以上の中高年齢層が46.6%に達しており、55才以上が
20.6%と高年齢層が高い比率を占めている。
  規模別では、「1〜9人」規模で45才以上が59.4%を占め昨年より1.6ポイント上昇し、逆に「100〜300人」
規模で34才以下が43.7%と昨年より1.3ポイント上昇しており、企業規模により年齢層に一層の開きが見ら
れる。
  業種別では、「出版・印刷・同関連」で「25〜34才」が36.8%と若年層の比率が高くなっているのが目立つ
ものの他の業種、特に製造業においては常用労働者の高齢化が目立っている。

5.女性常用労働者比率

 女性常用労働者比率をみると、「10〜20%未満」(22.2%)が最も多く、次いで「30〜50%未満」(21.6%)の
順となっている。女性比率50%未満は全体の80.4%で昨年の82.6%を2.2ポイント下回っている。
  業種別では「70%以上」が「繊維・同製品」で43.5%(昨年38.1%)、「小売業」で40.0%(33.3%)と他の業種
と比較して女性常用労働者比率が高いことがわかる。逆に「10%未満」が「運輸業」で54.5%(昨年65.0%)、
「機械器具」で44.4%(昨年40.0%)と低くく、業種による格差がうかがえるものの全体的に女性の職場進出が
進んでいるものと思われる。

6.パートタイム労働者比率

 パートタイム労働者比率をみると、「0%」が(56.2%)が半数以上を占めて最も多く、次いで「10%未満」(18.0
%)となっており、パートタイム労働者比率20%未満が全体の85.6%となっている。
  業種別では平均値で「対事業所サービス業」が「21.65人」で最も多く、次いで「食料品」の「18.59人」となって
いる。昨年度調査との比較では平均値で「対事業所サービス業」が10.27人と大幅に増加しているのがわかる。 

 

1.経営状況と経営上のあい路

(1)経営状況   状況悪化が全体の63.7%

 経営状況は、平成10年の調査から「悪い」が60%を超える状況が続いている。「悪い」が63.7%と昨年度調査
より3.6ポイント減少しているものの依然として全体の6割以上を占めており、厳しい経営状況がうかがえるが、
「良い」が7.2%で4.9ポイント昨年より増加しており、一部調査先事業所に改善の傾向が見られる。  規模別に
みても、「良い」と回答した事業所は、「1〜9人」(2.5%→9.1%)、「10〜29人」(0.8%→6.9%)、「30〜99人」(5.6
%→6.8%)、「100〜300人」(0%→4%)と昨年に比べて増加している。
  業種別で、「悪い」と回答した事業所は「食料品」で10.1ポイント、「小売業」で17.2ポイントと昨年に比べて大き
く減少していることがわかる。

(2)主要事業の今後   「出版・印刷・同関連」で強化拡大が56.3%

 現在行っている主要な事業の今後の考え方を見ると「現状維持」が昨年と同様69.2%と最も多く、以下「強化
拡大」20.7%、「縮小」9.2%と続いている。
  規模別で見ると、大きくなるほど「強化拡大」の割合が高くなっており、「100〜300人」では全国平均の21.9%
を大きく上回る40.0%が「強化拡大」を考えている。  業種別では、昨年と同様「出版・印刷・同関連」で56.3%、
が「強化・拡大」を考えており、続いて「卸売業」42.9%、「食料品」33.3%となっている。逆に「木材・木製品」では
「縮小」と回答した事業所が昨年の12.5%から31.8%と増加しており、業種によるばらつきが見られる。                             

(3)経営上のあい路   「販売不振・受注の減少」がトップ

  中小企業における経営上のあい路について予想される15項目をあげ、該当する3項目を選択してもらった結
果、昨年に比べ減少したものの「販売不振・受注の減少」が61.4%でトップとなり、以下「同業他社との競争激化」
(47.1%)、「製品価格(販売価格)の引上げ難」(31.7%)と続いており、この3項目はここ数年間高い数値を示し
ており、引き続いて中小企業にとっては厳しい経済状況にあるといえる。

2.労働時間 

(1)従業員の週所定労働時間 「週40時間」達成率が1.4ポイント減少

  回答306事業所の週所定労働時間を全業種でみると、週40時間を達成している事業所は72.2%で昨年調査時
(73.6%)よりわずかに減少しており、全国平均(75.1%)と比べても下回っていることがわかる。
  規模別での格差は大きく、「100〜300人」では88.0%が週40時間以下なのに対して、「1〜9人」では58.5%とな
っている。
  業種別では、「製造業」が達成率77.4%、「非製造業」で65.4%と12ポイントの格差があることがわかる。達成率
が高いのは「木材・木製品」90.9%、「繊維・同製品」86.9%となっている。逆に低いのは「設備工事業」の30.8%、
「小売業」「職別工事業」の50.0%の順となっており、規模別よ同様に業種間での格差も大きいことがわかる。

 (2)労働時間制度   「1年単位の変形労働時間制」が7割を占める

  5項目の労働時間制度を採用している事業所を調査したところ241の事業所が採用していることがわかった。
最も多いのは「1年単位の変形労働時間制」で72.2%、続いて「1ヶ月単位の変形労働時間制度」で19.1%となっ
ている。

 3.教育訓練(OFF−JT)について

(1)最近1年間のOFF−JT   「協同組合等の団体」が中心

 この1年間でのOFF−JT(従業員が職場から離れ、特定の場所に集合させて専門の訓練スタッフにより主とし
て集団的に行われる訓練)派遣先については、「特に派遣していない」が過半数の59.5%でトップで、以下「協同
組合等の団体」16.4%、「自社内」12.8%となっており、OFF−JTを実施している事業所では協同組合等の組織
を活用した研修が中心となっていることがわかる。
  規模別では従業員数が多いほど「特に派遣していない」の割合が低くなっており、規模による格差が目立つ。
また、「100〜300人」規模の事業所でも「自社内」「公共職業訓練機関」を利用している割合が高く、経費を出来
るだけ掛けずに研修を行うといった傾向が現れているのかもしれない。

(2)OFF−JT対象者所属部門 「建設業」で「技術・開発」が78.6%

 OFF−JT対象者の所属部門を調査したところ「技術・開発」47.8%、続いて「営業」36.8%、「製造・加工」35.3%
となっており、規模別で見てもほぼ同様の結果となっている。
  業種別では、製造業で「製造・加工」が59.7%で、「技術・開発」の41.8%を上回っている。非製造業では「建設
業」における「技術・開発」の78.6%が目立っている。

(3)OFF−JTを実施しない理由   小規模事業所では、代貸要員の確保が問題

  「時間的余裕がない」が24 .7%でトップ、続いて「代貸 要員がいない」の24.2%とな っている。
  規模別では、「1〜9人」で 「代替要員がいない」27.9%、 「対象者がいない」26.2%と いった回答が多かったが、
「10 〜29人」では、「時間的余裕が ない」が32.9%、「30〜99人」 「100〜300人」では「費用が かかる」がそれぞれ
、28.6%、 33.3%で最も多くなっており、 従業員数による違いがはっきり 現れている。
  業種別では、製造業で「代替要 員がいない」が21.2%で最も多いのに対し、非製造業では「時間的余裕がない」
が32.3%で最も多くなっている。
 特に「出版・印刷・同関連」で「費用がかかる」が50%を占めていることは、日進月歩する印刷技術の現状を現し
ているといえるかもしれない。

 (4)OFF−JT実施予定   「100〜300人」で約8割が実施予定

  実施の有無に関わらず、今後のOFF−JT実施予定を聞いたところ、わずかながら「実施していきたい」が53.3%
で多かった。
  規模別では、大きくなるにつれて「実施予定なし」の比率が多くなっており、費用のかかるOFF−JTでなく社内教
育で充分と考えているのかもしれない。
  業種別では、非製造業が「実施していきたい」が64.9%で「実施予定なし」を大きく上回っている。 

 

4.派遣労働者について 

(1)受入派遣労働者数   香川県平均3.4人、全国平均4.7人

  現在受け入れている派遣労働者数は、香川県が平均3.4人で全国平均の4.7人を1.3人下回っている。また、
香川県では16人以上受け入れている事業所はない。
  受入事業所は20件で、全回答事業所の6.5%(全国8.5%)である。

 (2)派遣労働者受入理由   「業務の繁閑への対応」がトップ

  派遣労働者の受入理由で最も多かったのは「業務の繁閑への対応」が38.9%で最も多く、続いて「代貸要
員の確保」36.1%、「専門業務を行う人材の不足」33.3%となっている。

(3)派遣労働者受入予定   9割以上が「受入予定なし」  

今後の派遣労働者の受入予定については、「受入予定なし」が92.4%と大半を占めている。 

5.定年・雇用延長について 

(1)定年制の有無   78.6%が「一律に定めている」

  定年制については、全体の78.6%が「一律に定めている」と回答し、定年年齢については、「60歳」が85.0
%で最も多く、続いて「65歳」の11.5%となっている。

 (2)勤務延長制度・再雇用制度の有無   「制度ある」が74.3%

  定年到達者を勤務延長または再雇用する制度については、74.3%が「制度がある」と回答し、「設ける予定
がある」を加えると約8割の事業所が、勤務延長制度・再雇用制度を考えているといえる。
  制度別では、「再雇用制度のみ」が33.4%で最も多く、続いて「勤務延長制度のみ」25.9%、「両制度併用」15
.0%となっている。
  規模別では、「1〜9人」で「設けない」が47.8%と高く、規模が大きくなるにつれて何らかの制度がある割合が
高くなっている。
  業種別では、製造業で「窯業・土石」が37.5%、「金属・同製品」で31.8%、非製造業では「小売業」が31.6%で
「設けない」の割合が高く、規模別での結果から考えると従業員数の少ない事業所が多いものと思われる。                        

※「勤務延長制度」とは、定年年齢が設定されたまま、その定年年齢に到達した者を退職させることなく引き続き
雇用する制度です。
  「再雇用制度」とは、定年年齢に到達した者をいったん退職させた後、再び雇用する制度です
。 

(3)勤務延長制度・再雇用制度における最高雇用年齢   「65歳」が6割を超える

  勤務延長制度及び再雇用制度における最高雇用年齢は、勤務延長制度が66.3%、再雇用制度が65.8%の割合
で「65歳」を最高雇用年齢としており、「70歳以上」が勤務延長制度で15.4%、再雇用制度で21.7%となっている。平
均は両制度とも66.1%と65歳を僅かながら上回っている。

 (4)制度の適用範囲   会社が特に必要と認めた者に適用

 両制度の対象者は、両制度とも「会社が特に必要と認めた者」に限って適用している事業所が半数を超
えており、単に定年退職者の就業場所の提供といったものでなく、人材の確保が制度適用の目的であるこ
とがわかる。
  規模別でみても、概ね全体の傾向と変わらない結果がでている。
  業種別では、「窯業・土石」が勤務延長制度に限って、「運輸業」が両制度とも「原則として希望者全員」が
多い他は、全体の傾向と同様である。

 (5)勤務延長者の労働条件  定年前に比べ厳しい傾向

  勤務延長制度・再雇用制度とも適用者の労働条件は、定年前に比べて一律に厳しくなっている。つま
り「定期昇給」「ベースアップ」実施されず、「賞与」は少なくなり、「基本給」は一律に下がり、「仕事の内容」
「週所定労働時間」は変わらないということである。

 (6)制度適用者の基本給減少幅   約2〜3割の減少

  両制度適用者の基本給減少幅は、勤務延長制度で「11〜20%」が、再雇用制度では「21〜30%」が33.8
%でもっと多くなっている。

 6.労働関係助成金について

(1)利用した助成金制度   「雇用関係」分野の助成金を活用 

 この1年以内で労働関係助成金を利用したことがある事業所は、約3割程度で、利用した助成金の分野
で最も多いのは、「雇用関係」で69.7%、続いて「人材育成・能力開発関係」37.1%となっている。近年の傾
向で、失業対策の一環として雇用関係の助成金が充実しており、事業所としても活用しやすいのではない
かと思われる。

(2)助成金利用のあい路   「手続きが煩雑」が39.3%でトップ

  助成金制度を利用するに際してのあい路については、「手続きが煩雑」が最も多く39.3%で最も多く、次い
で「申請から受給まで時間がかかる」28.1%、「書類等の作成が困難」27.0%となっており、規模別及び業種
別でも同様の傾向が見られ、事務の合理化が助成金制度利用の課題といえる。 

 7.新規学卒者の初任給(平成12年3月卒) 

 平成12年3月卒業の新規学校卒業者に対して、平成12年6月の1ヶ月に支給した1人当たりの平均所定賃
金(税込額)で、調査結果は、次のとおりである。

      初任給 格差 香川県 格差 全国 格差
高校卒 技術系 製造業 157,179

(▲2,637)

93.3 160,573

(▲29)

94.2 155,078

(699)

90.9
非製造業 164,815

(2,871)

93.7
事務系 製造業  

 

155,438

(9,266)

96.1 148,041

(▲1,503)

91.5
非製造業 155,438

(2,326)

92.1
専門学校卒 技術系 製造業 180,467

(15,799)

96.7 174,057

(7,211)

92.8 165,731

(▲750)

88.4
非製造業 169,250

(▲1,467)

90.0
事務系 製造業 147,500

 

84.6 155,600

(▲15,400)

89.3 160,840

(▲1,016)

92.3
非製造業 161,000

(▲10,000)

92.4
短大卒

(含高専)

技術系 製造業 159,517

(▲1,196)

85.7 169,055

(5,285)

90.8 166,115

(▲128)

89.3
非製造業 180,500

(4,500)

事務系 製造業 159,700

(5,575)

87.2 161,633

(2,201)

91.6 160,126

(▲190)

90.7
非製造業 165,500

(▲300)

97.5
大学卒 技術系 製造業 184,811

(▲4,552)

93.1 186,520

(629)

91.3 188,802

(▲2,518)

92.4
非製造業 189,083

(9,475)

88.0
事務系 製造業 182,919

(1,924)

89.0 178,869

(▲2,204)

87.9 184,939

(▲1,703)

90.9
非製造業 174,313

(▲7,108)

87.5

 8.新規学卒者の採用計画  「採用計画あり」が昨年より1.2ポイント上昇  

 平成13年3月新規学卒者の採用計画については、「ある」と回答した事業所20.1%(昨年18.9%)で、昨年より1.2
ポイント上回り、全国平均の17.7%も上回っている。「ない」と回答した事業所は59.8%(昨年64.8%)と昨年より5ポ
イント下回ってるものの依然として、厳しい就職状況には変わりがないといえる。
  規模別では、従業員数に比例して「採用計画あり」が高い割合を示しており、「100〜300人」では、過半数の52.0
%の事業所が採用を計画してる。
  業種別では「窯業・土石」で89.3%と昨年に引き続き「採用計画なし」と回答している事業所が高い割合を示してい
る。他では「木材・木製品」85.7%、(昨年68%)、「運輸業」77.3%(昨年75%)が「採用計画なし」と答えた事業所が目
立つ。
  逆に「建設業」31.4%(昨年37.8%)、「出版・印刷・同関連」31.3%(37.5%)は昨年に引き続いて「採用計画がある」
が他の業種に比べて高い割合である。

 9.賃金改定実施状況

 (1)定期昇給・ベースアップ実施の有無   「100〜300人」では、96.0%が実施 

 調査時点(7月1日)までに、定期昇給・ベースアップを「実施した」事業所は、39.7%で昨年度より5.1ポ
イント上昇している。「7月以降実施予定」の10.8%を加えると50.5%となり、僅かではあるが半数を超える
事業所が実施したこととなる。
  これを規模別で見ると、「100〜300人」では、96.0%の事業所が、「実施した」と回答しており、逆に「1〜
9人」では、16.9%しか「実施した」と回答しておらず、小規模事業所になるほど、定期昇給・ベースアップの
実施割合が低くなっている。この結果は事業所の経営状況に加え、労働組合の有無も影響していると思わ
れる。

 

(2)平均昇給額・昇給率   低下傾向が続く

  常用労働者に、平成12年1月〜7月間に定期昇給・ベースアップを実施した110事業所の昇給額状況
をみると、全業種で単純平均・平均昇給額が4,854円(対前年マイナス324円)、平均昇給率が1.88%(対
前年マイナス0.09%)で平成6年以来の低下傾向が続いており依然として、労働者にとって厳しい状況に
あるといえる。