香川県の協同組合の現状

 

 調査実施要領

1.調査の目的

 中小企業連携組織の中核である事業協同組合が、情報化、国際化、消費者ニーズの多様化、環境・リサイクル問題の高まりの中で、その組織・事業活動・運営体制等がどのように変化しているか実態を把握し、基本的事項のデータベース化を図るとともに、今後の組織連携のあり方の検討及び組合活性化等に資することを目的とする。

2.調査実施方法

  事業協同組合へ郵送によるアンケート調査

3.調査時点

  平成12年6月

4.調査対象組合

  県下の事業協同組合374組合

5.調査事項

  (1) 組織の状況
  (2) 事業の状況
  (3) 運営体制の状況
  (4) 財務の状況
  (5) その他

 

回答組合の概要

1.回答組合と内容 有効回答組合215(回答率57.5%)

 回答した組合を形態別で見ると「同業種同志型」が最も多く47.9%、続いて「同業種網羅型」18.1%、「系列型組合」13%となっておりこの3種類で約8割を占めている。
 業種別では、「小売業・飲食店」が21.9%、「建設業」14.9%、「食料品・飲料・飼料・たばこ製造業」「サービス業」10.2%の順となっている。
 

                          

 地区別では、「単一都道府県」が34.4%で最も多く、次いで「複数市町村」の32.1%、「単一市町村」の17.2%となっている。

                             

 
 
 出資金別では、「100万円〜200万円未満」が19.1%で最も多く、続いて「500万円以上〜1,000万円未満」14.9%、「2,000万円以上〜5,000万円未満」12.1%、「200万円以上〜500万円未満」11.2%となっている。

                     
 

2.組織の状況

最近3年間の組合員数の増減傾向 廃業・破産(倒産)による脱退が多数

 「減少傾向」「あまり変化なし」と回答した組合が、94.4%と大半を占めており、逆に「増加傾向」と回答した組合は、5.6%しかない。
 脱退理由としては、「廃業・破産(倒産)」が74.8%と3/4近くにあたり、続いて「事業の縮小」20.4%と長引く不況の影響が見受けられる。
 

 

 

3.組合事業の現況

(1)事業実施状況 「共同購買・仕入」が中心

 「実施事業」、「重点事業」、「今後実施予定事業」のいづれも「共同購買・仕入」が高い数値を示しており、依然として組合事業の中心となっていると思われる。「情報の収集・提供」「教育・訓練、人材養成」は実施している組合は多いものの、重点事業としている組合は少ない。しかしながら今後重点としたいと回答した組合は多く、今後の組合活動の中心となっていくかもしれない。

                          

(2)実施事業の近況 「変化なし」が47.6%

 全体では、「変化なし」が最も多く47.6%で、事業別でもほとんどの項目で高い割合となっている。「活発」が多い事業は、「共同生産・共同加工」42.1%、「共同購買・仕入」
32.0%、「共同受注」29.4%となっている。逆に不活発な事業は「製品・技術等の共同開発」35.0%、「市場調査・販路開拓・イベント」34.9%となっている。
 

(3)物的共同施設の有無 「会館・事務所」が43.7%

 組合で所有している共同施設については、33.0%が「特に設備・施設はない」と回答している。所有設備では「会館・事務所」が最も多く43.7%。続いて「パソコン」34.9%、「ファックス」34.4%となっている。

                                 

(4)インターネットへの接続状況 情報発信・収集への意欲大きい

 パソコン等を持っている組合のうち、インターネットへ「既に接続している」は37%で、「接続したいと思っている」も39.5%と両方で76.5%と高い割合となっており、組合事務所での情報化の進展が伺われる。
 
 

 現在、パソコン等情報機器を活用して行っている事業で最も多かったものは、「組合の情報処理」56.8%で、他の項目に比べ断然高い割合を示している。しかしながら、今後実施して行きたい事業では、「ホームページによる外部への情報発信」29.6%、「情報ネットワークによる情報交換」22.2%となっており、パソコンの活用方法として、情報処理だけでなく情報発信・収集を行いたいと考えている組合が多いことが伺われる。
                                 

 

4.運営体制

(1)理事の平均年齢 全体の平均は、57.2歳

 理事の平均年齢については、50歳代が約半数の50.2%、次いで60歳代の24.7%で20歳代はゼロ回答であった。
 全体の平均年齢は、57.2歳で、理事の高齢化が進んでいるといえる。
 

 

(2)各部会設置状況 女性部は86.5%が「なし」

 何らかの委員会・部会を設けている組合は44.2%、青年部に関しては、26.0%であった。女性部に関しては「ある」が僅か4.7%と低い割合であり、今後の組合活性化のためにも、青年部同様に女性部の設置が望まれる。
 

(3)専従役職員 「事務・管理職員」は、35.8%が1人

 「現場従業員」「技術者・技能者」については、必要ない業種もあるため一概には言えないものの、平均して「なし」又は「1人」の割合が多い。財政的に余裕のある組合であれば、組合事業活性化のためにも専従職員が必要であると思われる。

(4)組合事務所 46.5%が「賃借」

 組合事務所については、「賃借」が最も多く46.5%。続いて「所有」の32.1%となっている。「その他」のうちの多くは役員又は組合員の事業所内にあるものと思われる。
 組合役職員と同様に事業の活性化のため組合独自の事務所は必要だと思われる。

 

5.財務状況

(1)主要な収入 共同事業収入が44.7%

 組合の主な収入源3つを順位をつけて回答してもらったところ、1位が最も多かったのは「共同経済事業収入(金融事業収入)」が44.7%であった。続いて「賦課金収入」の36.7%でこの2項目で全体の8割を占めている。
 長期化する不況のため、共同事業収入が減少し、賦課金収入に頼らざるを得ない組合が増加しているのではないかと思われる。

 

(2)直近3年度の決算状況 剰余がでるものの100万円未満が大半

 3年間とも、「剰余がでた」が「損失が出た」を大幅に上回っていることがわかる。
 しかしながら、グラフ18・19からもわかるように剰余金の金額は「100万円未満」が56.1%、500万円未満が全体の8割を占めており、配当も行っていない組合が大半で、決して大幅な利益が出ているのでないことがわかる。
 

 

(4)脱退者に持分払戻方法 「出資額限度」が過半数

 持分払戻方法については、「出資額限度の払戻し」が57.1%を占めており、 組合財務基盤安定のためではないかと思われる。 

6.環境変化への対応状況

(1)環境変化への対応策 組合に新たな役割を

 現在・今後を問わず「委員会・部会の強化」(現在19.1%、今後18.1%)、「組合の目的・事業の見直し」(現在16.7%、今後26.0%)が高い割合である。ほぼ全ての項目で現在よりも今後が増加しており、業種・形態等による違いはあるものの何らかの対応を行う必要があると考えている組合が多いことが伺われる。特に「組合内部・組合外部の情報ネットワーク化」「組合員の新分野進出、新事業展開への支援」は「今後の対応策」としてあげる組合が多く、組合に新たな役割が求められている。

                            

(2)組織運営体制における問題点  組合員の業績不振がトップ

 長引く不況の影響からか「組合員の業績不振」をあげる組合が57.7%にのぼっている。他では「組合員の協調性・参加意識の不足」44.2%、「組合員の減少」30.2%といった項目をあげた組合が多くみられる。
                                  

(3)事業運営のおける問題点 「既存事業の停滞」が56.3%

 「既存事業の停滞」をあげる組合が56.3%で最も多く、以下は大きく離れて「規制緩和等環境変化に対応した有効事業のみつけにくさ」29.3%となっており、組合員のニーズにあった事業の実施が急務といえる。
                 

                  

(4)組織運営体制面における重点事項 組合員との関係強化が重要

 今後の重点事項としては、「組合員の意識改革」58.1%、「組合員との連携強化」39.5%、「既存事業の拡大強化」34.0%といった順になっており、「組織運営体制における問題点」
の項でもあったように組合員の参加意識の向上が今後の課題といえる。

  

                                

(5)事業面における重点事項 組合員の活性化策策定を
 「組合員事業の活性化策の策定」が51.2%と過半数を超えており、これまで以上に組合員への指導的な役割を今後の重点事項としている組合が多いことがわかる。

                                  

(6)組合から会社への組織変更 「既に着手している」は、1.4%

 昨年の法改正により可能となった組合から会社組織への変更については、「今のところ考えていない」「今後とも考えるつもりはない」が併せて80%となっており、現段階では組合組織のままでの活性化を考えている組合が多いことがわかる。

 
(7)助成制度の活用状況 教育研修・人材養成分野の利用多い
 グラフ27のように最近3年間で組合に対する助成制度を活用した組合は全体の約1/4の24.7であった。活用した助成制度交付団体は、国が最も多く32.4%。次いで中小企業団体中央会24.0%。県の21.1%となっている。
 

 

 
 活用した助成制度の分野は、「教育研修・人材養成関係」が49.1%、続いて「雇用・技能研修等労働関係」が34.0%、大きく開いて「情報化関係」の13.2%となっている。
 特に雇用労働関係は、昨今の失業対策の影響で助成制度が充実しており、活用する機会も多いのではと思われる。